3.1 EDI(ElECtronicDataInterchange)目次へ戻るEDIは一般的に「電子データ交換」と訳されるが、商取引でのEDIは狭義には「商取引のデータ交換に関する標準規約に基づく企業間オンラインデータ交換システム」を指し、広義には「商取引に伴う各種書類を電子化してデータ交換および保管を行う電子経済社会システム」と指す。つまり、業界や業務ごとに標準的な規約を定め、業界内・業界間でデータを交換しあうものがEDIであり、個別企業の固有の手順・フォーマットに対応させているオンラインのシステムはEDIに該当しない。3.2 EDIの現状
EDIを実施するためのEDI標準規約としては図-3.1の要件で構成されている。
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図-3.1 EDI標準規約従来、紙ベースで行われていた商取引をEDI化することについては、高度情報通信技術の発達を背景にして日本経済の国際化、グローバル化が進展する中、建設業界においても避けては通れないと考えられるが、導入、採用に際してはメリット、デメリットを十分に検討することが必要である。
EDIは表-3.1に示すように流通、物流、鉄鋼、電気等の業界が先行している。これらの業界についての現状を文献資料、ヒアリングにより調査を進めている。1)資機材業者ヒアリング表-3.1 EDIの現状
業界名 参加会社 流通業界(流通EDI) 50,000社物流業界(物流EDI) 800社鉄鋼業界(鉄鋼EDI) 39社流通業界ではバーコードを利用した商品の納品、在庫管理を行っており、建設業においてもバーコードの作業所における納品管理等への適用が提案されている。
流通業界、鉄鋼業界を始めとするEDIではVAN(ValueAddedNetwork)が通信媒体として利用されてきた。インターネットの普及に伴い、通信媒体としてインターネットを利用するインターネットEDIの普及が進んでおり、今後は商取引の形態に合わせて使い分ける方向で進むものと考えられている。
建設業におけるEDI関連の動向としては(財)建設業振興基金を中心にVANを利用した実験的な取組みが行われてきた。実用化に向けた事例として一昨年設立された公共調達コンソーシアムにおいて開発中の電子入札システムがあげられる。この電子入札は、政府調達にインターネットEDIを導入する世界初の事例となる。また、建設CALS/ECアクションプログラムでは2002年4月には契約EDIが導入されることとなっている。このように建設業においても本格的なインターネットEDIの導入が始まろうとしている環境の中で、例えば請求書の標準化等、EDIを導入する場合の課題等について検討していく。
建設関連の他業種におけるEDI導入の現状とその効果をヒアリング等により調査を行った.調査事項はEDIの適用範囲、適用技術、コードの利用等である。2)『オープンネットワーク時代における電子商取引の動向について』講演
ヒアリング先会社名
M社(仮設)丸藤シートパイル
O社(鉄鋼)岡谷鋼機
S社(コンクリート)埼玉中央生コン共同組合
K社(建設機械)小松製作所
N社(鉄鋼)日本鋼管a)ヒアリング結果のポイント
◇業務系システム
基幹システムは現在もメインフレーム中心(S社を除く)
◇社内ネットワーク
大企業はパソコン一人一台となっている(O社、K社、N社)
グループウェアは「ノーツ」が多い(M社、O社、K社、N社))
◇商品コード
業界共通コードの事例は少ない・鋼材倶楽部の帳票コード委員会準拠;30年前,中分類(O社)◇EDI実用事例
・システム化の過程で関連のあった近接組合と一部共有(S社)
・当初は「馬力」「容量」などを意味付けした商品名だった(K社)・「鉄鋼EDI標準」で商品コードの桁数が定められている(N社)別項目や文字列を併用している例が多い
・「長さ」「品質(中古格付)」を併用(M社)・「商品口座番号」が最終の商品識別となり,部署単位で自由採番(O社)
・生コン配合の基本要素のマトリクスとスライド額の加算で,商品・単価をある程度表現できるが,混和剤まで含めるとコード化は困難(S社)
CI-NET規格の見積依頼回答(M社)
独自仕様の見積依頼回答(M社)
鉄鋼メーカーと商社間での受発注,生産進捗照会(O社、N社)
→「鉄鋼EDI標準1997年度版」
生コン商社、協会、プラント間のオンラインシステムで受発注,請求,実績管理が行われている.(S社)
部品メーカへの発注業務がほとんどオンライン化(K社)
◇CALSへのとりくみ
鉄鋼EDI/EC,鉄鋼設備CALS(N社)
◇その他
・建設会社各社の指定請求書の問題(M社、O社、S社)があり、通常は手書きで対応することになる.
・請求書フォーム毎に微調整可能な印刷ソフトがある.(S社)○日時:平成11年2月16日(火)3)NKK/鉄鋼EDIヒアリング
○場所:土工協
○講演者:富士通第二システム事業部ECソリューション推進室長鈴木英彦氏<講演要旨>
電子商取引の最新動向について、“社会的動向”“市場動向”“技術動向”という3つの切り口から講演していただいた。◇社会的動向
インターネットの利用者、インフラ、認知度は、爆発的な勢いで伸びている。具体的に挙げると以下のような点である。◇市場動向
・全世界のインターネット人口は、1998年現在4350万人に達し、今年には6000万人に達する勢いである。(利用人口が5000万人を超えることに5年を要したが、ラジオ38年、テレビ13年、CATV10年と比較するとずば抜けて早い。)
・日本におけるインターネットホスト数が、ここ5年間で50倍に増加した。(アメリカの10分の1にすぎないが)
・通信回線容量は10倍/年の増加を示す。
・ホームページで提供されている情報量が5年間で240倍、3兆バイトに達する。(新聞1億2500万ページに相当)
・企業活動、個人生活、行政サービスといった幅広い用途で利用され始めた。電子商取引の市場動向として、インターネットショッピング店舗の動向、電子商取引の道具として注目されているICカードの動向を解説した。◇技術動向
・インターネットショッピングサイト数は、1998年11月現在で12,402を数えた。1998年だけを見ても2月から11月までに倍増したことになる。
・インターネットショッピングの採算性は低く、日本では黒字13%赤字48%でその企業運営方法については更なる改革が必要と思われる。
・ICカードは、記憶容量が16,000文字と現在主流の磁気カードの約3倍の容量を誇る期待のメディアであるが、1枚あたりの価格がその普及のネックとなっている。
・ICカードはチップの集積化による価格の低減によって、今後の利用フェーズの拡大が期待される。
・インターネットを利用した電子商取引は、対面販売、ダイレクトメール、電話/FAXに次ぐ第四の販売チャンネルと言え、それによるマーケットの拡大が期待される。電子商取引の利便性と対を成すめんとして、セキュリティの問題がある。ここではセキュリティを確保するための技術動向について主に解説している。◇ECシステム事例
・電子商取引の危険性として、“盗聴”“改ざん”“なりすまし”が挙げられる。これらの対策技術として、『暗号』『電子署名』『認証』の研究が進められている。
・暗号化の技術としては、大きく分類して共通鍵方式と公開鍵方式とがあり、その方法によって種々のシステム(DES、FEAL、RAS、楕円暗号etc.)が考案されている。
・改ざん発見のために使用する電子署名には“ハッシュ関数”などがあり、1bitでも変更されると明らかになる。
・なりすまし防止のために使用する“電子認証”は、公的な電子認証を発行する認証局必要となる。認証局としては、日本ベリサイン、日本認証サービス、サイバートラストなどがある。ECの実践事例として以下の5つを挙げた。
・モールにおける取引と電子決済
・資材購買
・総務購買
・オープンネットワーク上でのデジタルコンテンツ流通○日時:平成10年10月5日(月)4)「建設分野におけるEDIの将来」講演会
○場所:日本鋼管株式会社
○相手先:鉄鋼事業部情報化推進部営業情報室
室長倉持和徳、係長中山完治、統括スタッフ田島一平◇鉄鋼EDIの歴史
・プロトコルの標準化は鋼材倶楽部/帳票・コード研究会において1968年から始まったがEDIではなく、統計処理業務の合理化を目的とした帳票、コードの標準化であった。◇鉄鋼EDIの現状
・1971年にメーカ・商社間の注文書、送り状、請求書に用いる項目・コードの基本の57項目を標準化し、「標準項目・コードの手引き」を刊行したが帳票様式の標準化よりもコードの標準化が優先された
・1971年以降も、「取引に関する情報処理の標準化(メーカー・商社間における販売情報のインターフェースの標準化)」のビジョンにおいて種々の標準化を実施した
・1985年以降では通信回線の自由化、情報通信技術の著しい進展を背景としてコンピュータ通信による「企業間オンラインデータ伝送」が産業界で一般化し、欧米では急激に情報化が進展した
・これに対応するため、1990年に通商産業省の指導で高炉メーカー6社、総合商社7社で「鉄鋼ネットワーク研究会」を設立し、本格的にEDIへの取り組みを開始した
・研究会では鉄鋼業に係わる鉄鋼メーカー、商社、加工センター、中継地、倉庫などの全てのサプライチェーンで活用できるEDIを実現するため「鉄鋼EDI標準」を開発した
・1993年に「鉄鋼EDI標準」の原案を取りまとめ、1994年には94年度版を刊行した
・1995年には「鉄鋼EDI標準」の維持管理、普及促進を目的に「鋼材倶楽部鉄鋼EDIセンター」を設立
・1997年時点で開発された標準メッセージが36、データ項目数は2000項目
・現在では商取引の定型情報に付随する人間系の不定型情報を対象として、インターネットを活用したオープンでインタラクティブなEDIの標準化の研究を進めている・建設CALSは官主体で行われているが、鉄鋼EDIは私的な活動で開始した・鉄鋼業界は鉄鋼メーカー、商社、物流などの関連会社が特定会社に決まっているため建設業界に比べてEDIはやりやすいだろう◇請求伝票の統一
・現在、鋼材倶楽部参加会社は70社程度
・受発注システムとしての鉄鋼EDIは業界標準ではあるが、各会社ごとのプライベート標準も併用している
・調査では鉄鋼EDI標準の使用が10から20%で、残りはプライベート標準を使用している
・商社はメーカーからの異なる標準データをトランスレータを用いて自社コードに変換している
◇商品コードの付け方
・建設資材の中で化学製品などの新製品が多く出る場合のコードの付け方はどのように考えればよいか?
・鉄鋼材料等は定型商品が多く体系型コードがつけやすが、建設業では体系型コード、非体系コード、両者の混合コードなどを考えるべき・EDIを進める上では伝票書式の統一が不可欠と考える
・方法として、エクセルメール方式、Web方式が考えられるが、中小の会社を相手にするためトランスレータ方式も勘案すべき○日時:平成11年3月17日(水)5)請求書伝票のEDI化の検討
○場所:土工協
○講演者:(株)三菱総合研究所情報技術研究センター情報技術開発部
主任研究員飯村次郎氏<講演要旨>
EDIを推進することで情報化が進むと言われている。また、企業間で広く合意された標準を採用することで、情報の伝達を行うことができる。
建設業界は、電子メールが広まりこれを利用しての企業間取引は進んでいるが、企業間ネットワークの整備が遅れており、EDIの進展状況は遅い業種といえる。
「電子メールもEDIでは」という見方もあるが、電子メールは人間系といわれ非構造化データを扱うが、EDIはシステム系であり構造化データを扱うという違いがある。
EDI導入の障壁となる要因としては、
・現状のEDIの手順
・コスト上の“重さ”
・“標準”が標準となっていない
・SMEへの導入に限界がある
・初期データ入力をどこが行うのか
といったことが考えられる。これらの障壁を取り除くために、
・標準化への取り組み
・“簡易”なEDIパッケージの制作
・Web-EDIの採用
・より建設業界に適したXML/EDIの採用
が検討されている。現在、官民間のEDIについては「公共調達コンソーシアム」において電子調達の検討が進められている。一方、元請建設・協力会社・資機材会社等の民民間の電子調達についても検討が必要であり、CALS検討部会の当WGでは民民間の電子調達の中で請求書のEDI化について検討している。見積依頼から請求書受理に至る業務プロセスは概ねどの会社も同様ではあるが、請求書に記載する項目は多種多様である。特に各社独自の工事、種の科目やそのコーード番号があり、経理的な社内処理業務との連動を図っている点が課題である。3.3 EDI導入に関わる法的問題
電子調達を実現するためには請求書の業界統一が必要で、EDI導入の第一歩と言われている。また、民民間の電子調達の実現は、見積から請求に至る一連の業務を円滑化し、コストダウンに寄与するものと考えられ、建設CALS/ECの目指す目的にかなうものである。1)検討活動状況![]()
図3.2 建設会社と協力会社との業務の流れ◇伝票等の標準化及びEDIに対するサブWG各社のヒアリング結果について検討・指定請求書を取引先に購入してもらい、当該請求書を使用することを要求する点は各社共通。◇請求書の業界標準化におけるメリット・デメリットについて検討
・請求書統一に対する取引業者の要求は大きい。
・用紙を指定せず、白紙に必要事項をOUT-PUTで可とするだけでもいいのでは。
・各社で経理(事務)レベルにもっと聞いて現状調査する必要がある。
・次回は“請求書”を業界標準化の対象とし、標準化のメリット・デメリット等を社内担当部署にヒアリングするための質問事項一覧を各自作成して検討する。・土工協各社に対して行うアンケート項目をこのWGで検討し、その結果を部会にあげて各社に実施する。◇サブWG各社の請求書記載項目、請求書様式について検討
・各社各々の請求書形態のなかで、最大公約的な必要項目を調査すべきである。
・実態調査をするアンケート項目と標準化に対する項目が必要であろう。
・業者から提出される請求書と別にインプット用紙がある。
・アンケート対象者にはある程度標準化された請求書のイメージがあった方が答えやすいのではないか。
・次回はもう一度各社で社内請求書の記載項目、コード、桁数、業者記入か社内記入かを調査し、検討を進める。・請求書に記載する項目、請求書様式、また請求書の社内での流れ方は各社により、かなり異なる。◇A社
・指定様式の請求書が無い会社や、出来高検収報告書、請求書、電算入力書を兼ねている書式など色々である。
・外注、レンタル、材料により、請求書様式が同じ会社、異なる会社もある。
・経理の電算処理のためOCRを採用している会社でも、社員が記入している。
・各社独自の工事、工種の科目やそのコード番号がある。
2)WG各社の請求書記載項目の比較検討
EDIサブワーキング各社の請求書に記載する項目を下記の表により整理した。各社の着目点を以下にしめす。
◇戸田建設
・所定の請求書あり、OCR用紙
・現実の運用は社員が業者独自のの請求書からOCRに転記し、業者の請求書、出来高書類を添付して経理部門に廻している
・社内の原価管理コード記入欄あり
・社内関連の捺印欄が11箇所ある・業者の請求書、社内の検収報告書、及び電算入力用紙が一体となった統一書式あり◇B社
・資機材の請求書と工事(外注・労務)の請求書は別様式
・業者は氏名、住所、請求金額等を記入する程度で、他の殆どは社員が記入
・現場から経理に請求書を廻す場合、業者独自の請求書は添付しない
・電算用の入力には社内の原価管理コード記入欄あり
・電算入力作業は派遣により外注入力している・所定の請求書があるが、物品請求書、借上(リース)請求書、外注請求書に分かれており、OCR用紙を用いた支店独自の様式も若干ある◇C社
・勘定科目などでは所定の"印鑑"を押印する箇所がある
・社内の工種コード記入欄あり・材料、労務、外注を問わず請求書様式は同じで、経理伝票も兼ねている◇D社
・業者は氏名、住所、数量、単価、請求金額等を記入する
・社内の工種コード、勘定科目コードは社員が記入する・10年前から指定様式の請求書は無く、業者独自の請求書で受け付けている◇E社
・業者からの請求書には、「取引先コード、工事件名、契約No、累計出来高金額、消費税額、前回までの出来高金額、今回請求額」は必ず記入してもらい、これに現場の承認印を押印して内訳書を添付して経理部門に廻している
・現場ではパソコンを端末から「原価管理システム」にデータ入力して、経理のデータベースに登録される
・工事コードと経理コードは統一されている・所定の請求書があり、OCRで処理している◇F社
・業者の記入は4項目だけで、他は社員が記入している
・所定の請求書の利用は20%程度で、他は業者独自の請求書である
・社内の実行科目の記入欄あり・所定の請求書様式があり、これに記入して提出させている
・実際の運用は、現場で出来高査定書を作成し、概ねその通りに業者の請求書が送られてくるため現場では書式チェック程度である
・社内の費目コード記入欄があり、請求現場の社員が記入する
・経理部門では費目コード、金額などを電算入力する
・社内捺印欄が3箇所ある現在の法体系は電子化を視野においていないため、EDIを推進するためには法体系の見直しが必要となる。これらのついては法務省、通産省等での検討が進められているが、当グループとしてはこれらの動向を整理していくこととしている。
法的問題の一部である帳簿、契約書に関わる問題を表-7.6に例示する。法制度上は帳簿、請負契約書が何れも文書が前提となってきた。帳簿の保存義務に関連しては、国税庁は平成10年7月1日に「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存法等の特例に関する法律(略称:電子帳簿保存法)」を制定し、電子帳簿の使用を認めることとなった。また、インターネット上での商取引についての印紙税の取り扱いについても方針が出されている。表-3.2 法的問題の一例
1)「法的問題についての基礎調査」(CALS部会/平成11年1月20日:発表)
義務項目 関連法規・条項 内容 帳簿備え付け・保存義務 法人税法(150条の2)
所得税法(231条の2)
消費税法(58条)帳簿の7年間保存義務 契約書作成義務 建設業法(19条) 署名または記名押印した契約書を相互に交付 印紙税貼付義務 印税法(別表第1) 課税物件、請負契約者 電子商取引の問題を総括的に取り扱っている思われる以下の資料を照査した。2)対応事例
・CIーNET活動報告書(平成9年3月)
・電子商取引と法律制度的環境の整備/国際大学グローコム教授青柳武彦(平成9年6月)
・電子商取引環境整備研究会中間論点整理(平成9年11月)
・電子情報活動における法的問題について/学習院大学法学部野村教授(建設オピニオン平成8年9月号)
これらを整理すると、取り上げられている問題は3つに大別できる。
・意思表示と契約の問題:これは契約の成立、無効あるいは取消といった問題
・行政による法的規制:“税法”とか“なになに業法”とかの行政による法規制の問題
・訴訟における証拠能力:訴訟法上の証拠能力の問題
今あげた3つの区分に従って整理した一覧表が下の表となる。左に3区分。次にしめしたのが具体的な問題点、3番目以降がその問題に対応する現行法の法律名、条項、規程内容になっている。
現行法の規定との対比で表を作ったが、現在“EDIに関する法的諸問題”として議論されているのは<現行法の解釈で問題の解決ができるのか>、<一部改正が必要になるのか>あるいは<新法の立法が必要になるのか>といった問題であると言える。
区分 問題点 現行法名 条項 内容 1 契約成立時点の明確化 民法 97条、526条1項 意思表示の到達時点と契約成立時点 無権限者のなした契約 同上 109条、113条 無権代理、表見代理 契約の無効・取消 同上 4条、9条、12条、95条、96条 無能力者、錯誤、詐欺 2 帳簿等の保存 商法 36条 商業帳簿等10年間保存義務 帳簿備え付け、保存義務 法人税法 150条の2 帳簿7年間保存義務 同上 所得税法 231条の2 同上 同上 消費税法 58条 同上 契約書作成義務 建設業法 19条 署名または記名押印した契約書を相互に交付 同上 下請代金支払遅延等防止法 3条 書面を下請け事業者に交付 3 印紙税貼付義務 印紙税法 別表第1 課税物件 請負契約書 訴訟の証拠能力 民事訴訟法 228条4項 署名又は押印による文書成立の真正の推定 同上 同上 247条 自由心証主義と法定認証主義 情報の電子化に伴う法的諸問題、建設オピニオン平成10年12月号学習院野村教授◇商業帳簿等の電磁的記録保存について法務省民事局公式見解(H10.3.25)◇電子帳簿保存法の制定施行、国税関係・現行商法の下でも可能→書面(紙)によって保存とする規定はないまず、商法36条の商業帳簿保存義務に関して平成10年3月25日法務省民事局が「商業帳簿等の電磁的記録保存について」とした公式見解を発表している。
・条件:「債権者、株主等の閲覧の請求に応じて合理的期間内に見読可能なもの」
・商業帳簿以外の商法上の書類…“株主名簿”、“計算書類及び付属明細書”等も可能
(商業帳簿:日記帳、仕訳帳、元帳、BS、PL)
その内容は
・「商法は商業帳簿等を10年間保存すべきことを規程しているが書面によって保存しなければならないとする規程はない。従って、現行商法の下でも債権者、株主等の閲覧の請求に応じて合理的期間内に商業帳簿等を見読可能なものとすることができるのであれば商業帳簿を電磁的記録によって保存することは可能である」というものである。
・さらに「同様の条件が満たされるのであれば商業帳簿以外の商法上の書類:株主名簿、端株原簿、社債原簿、計算書類及び付属明細書等についても電磁的記録による保存が可能である。」となっている。「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に◇印紙税の取扱 国税庁正式判断
関する法律」平成10年7月1日施行
概要1.国税関係の帳簿書類を電磁的記録で保存できる要件
2.国税関係の帳簿書類をCOM(コンピュータアウトプットマイクロフィルム)で保存できる
3.電子取引(EDI取引)に係る電磁的記録を保存する1.電磁的記録の訂正加除の履歴の確保承認手続
2.各帳簿間での記録事項の相互追跡可能性の確保
3.電子計算機処理システム関係書類等の備付(例:システム概要書、
システム設計書、操作マニュアル等)
4.見読可能装置の備付(ディスプレイ、プリンター等)
5.検索機能の確保保存開始日の5ヶ月前までに所轄税務署に申請書を提出(H/11/7/1以降は3ヶ月前迄)その概要は、上記の概要1から5の内容となっている。
2番目は電子帳簿保存法が平成10年3月31日に公布され7月1日に施行されたということである。この法律は正確には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言いまして、問題整理表の区分2の所の法人税法、所得税法、消費税法の帳簿備付保存義務規定の問題に対する当局の答えと言える。
ここで参考までに説明すると:電子データ保存の対象となる具体的な帳簿や書類とは自己がコンピュータを使用して作成する仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳や決算関係書類であって、手書きで作成する帳簿等や、手書きで作成し相手に公布する請求書の控え、取引の相手方から受け取る請求書などは認められません。つまり手書きの帳票などをスキャンして保存するような方法は認められないと言うことでである。
次に、その要件は上記の1から5とされている。
これらの要件は簡単に言えば税務調査の際に調査官が困らないようなシステムにしておきなさいということのようである。
3つ目に承認手続きに関する規定がある。電子データによって保存しようとする場合には5ヶ月前までに承認申請しなければならない。3月決算会社で来年度からこれでと考えている会社は昨年11月2日までが期限でしたので土工協の中にも申請した会社があるのではないかと思う。◇各省庁の取組と報告書インターネット画面を利用した取引は印紙税の課税対象外3番目の事例として“インターネット画面を利用した取引は印紙税の課税対象外”であるとした国税庁の正式判断を紹介する。これは税務研究会による直接取材に答え、記事原稿を了承したもので通達が出ているということではないが正式に判断を示したもので、内容としては「インターネット画面取引では文書そのものが存在せず、従って印紙税の課税対象とはならない」というもので、では画面を紙に印刷したものはどうなのかという疑問についても「自らの有するデータを印刷しただけで相手が了知しているわけではなく、文書としての効果が無いので印紙課税は及ばない。」という判断となっている。
・文書自体が存在せず
・画面印刷も文書としての効果なし
“国税庁の今回の判断によりインターネット取引が益々加速するのは必至”
(税務研究会「週刊税務通信」平成10年8月3日号)
この記事を掲載してあった税務通信には“国税庁の今回の判断によりインターネット取引が益々加速するのは必至となってきた”と書いてあった.
以上3事例紹介したが、行政による法的規制の面では規制緩和というか法整備が着々と進められている。内閣 高度情報通信社会推進本部このほかに各省庁がどのような取り組みをしているか、またどんな報告書を発表しているかざっとまとめた。
・電子商取引等検討部会「電子商取引等の推進に向けた日本の取組」(H10・6)
法務省
・「電子取引法制に関する研究会報告書」(H9・3)、(H10・3)、(H10・6)
商業登記制度に基礎をおく電子認証制度
公証人制度に基礎をおく電子公証制度
電子署名法の制定
通産省
・電子商取引環境整備研究会「中間論点整理」(H9.11)
・消費者取引研究会法務省:研究課題に直接関係するテーマを扱っているので若干説明を加える。
・商業登記制度に基礎を置く電子認証制度の構築通産省:
これは現在書面の形で提供されている印鑑証明書等に対応するものをデジタル署名について提供する(登記簿謄本、代表者の資格証明、印鑑証明)
・公証人制度に基礎を置く電子公証制度の構築
これは現在書面について提供されている公証サービスを電子文書について提供するものである(契約の成立内容を公的に証明:公正証書)
・電子署名法の制定
現行法上の署名又は押印に認められている効力と同様の法的効力を電子署名に認める。認証機関に何らかの法的枠組み(資格)が必要無いか。認証機関と電子取引当事者間の私法的関係を規定:通産省は「電子認証への取組は民間に任せるべき」として難色を示している。(日経BP)電子取引環境整備研究会の「中間論点整理」が平成9年11月に発表されている。
郵政省・電子決済、電子現金とその利用環境に関する調査研究会「報告書」 (H9・4)大蔵省
・ネットワークを通じた認証業務のあり方に関する調査研究会「報告書」 (H9・3)
・「電気通信システムに対する不正アクセス対策法制の在り方について」(H10・11)・電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会報告書(H10・6)
警察庁・情報セキュリティビジョン策定委員会「報告」(H10・5)このなかで、「不正対策アクセス法制」については郵政省と警察庁の双方から素案が発表されているのが注目される。
・ハイテク犯罪対策重点推進プログラム(H10・6)
サイバーポリスの創設、不正アクセス対策法制の整備
相違点は大きく2点である。1つは対象とする範囲が警察庁案では「企業官公庁等の事業のために使用されているコンピュータ」としているのに対して郵政省案ではプロバイダーや大学、個人のパソコンまで含まれるという点。もうひとつはアクセスログについて警察庁案では一律3ヶ月、郵政省案では自主的に定めるとなっている点があげられる。