先進情報収集SWG

5.1.1 取組みの目的と背景

 先進情報収集SWGでは、建設CALS/ECで使用されるインターネット技術が企業にスムーズに取り入れられるようその技術動向や社内で対応する上での技術的問題点を調査研究することを目的にしている。これらの活動成果は幅広く部会メンバーに紹介していくことで、自社の情報ネットワーク環境の整備や社員のコンピュータリテラシー教育に役立てるばかりでなく、将来の民民CALSつまり企業間での情報交換利用に役立つことを目指している。

5.1.2 研究テーマ

(1) インターネット技術、電子化技術のシステムへの利用、空間情報の業務への有効利用に着目し他産業の情報先進企業の事例を紹介していく。
(2) 各種標準規格(XML、IIPインターネットイメージングプロトコル)に関してベンダーの動向を含め他産業での採用事例を調査・紹介していく。
(3) 情報技術の積極活用と高度利用に関して
@情報技術の推移を時系列に整理しCALSとして着目しなければならない情報技術を「情報技術マップ」として作成、研究テーマとの整合性を図る。
A部会メンバーに対して情報技術を紹介する説明会や業務への利用性を主眼においた勉強会の開催を実施する。
B各社の情報ネットワーク環境を調査した上で、CALS実践への各社に共通するネットワーク上の問題点を明らかにすると同時に現場事務所に敷設する場合の「現場ネットワーク構築指針」を提案する。

5.1.3 研究成果

今年度の活動を研究成果として掲載する。

(1)DB連携プログラム講習会の開催
 当WGが土工協実証サーバーにおいてアンケートなどで検証を重ねたインターネット技術を整理し、広く部会の委員に理解、利用していただくために「DB連携プログラム講習会」を昨年に引き続き開催した。
 都合4回にわたり、HTMLの基本からJAVAスクリプト、VBスクリプト、そしてWebブラウザからデータベース(ACCESS)との連携という内容で最終日にはLAN環境において実際にデータの送受信を体験していただいた。講師は当WG委員で担当し、参加者のべ人数はの是非はあろうかと思うが、書籍等での理解よりはるかに短時間でインターネットにおける問題点や利70名を数えた。
 講習会の実習としてスクリプト(記述言語)を作成すること自体便性などが体験の中から見出すことができるという効用があり、今回の参加者からもそういった意見が数多く寄せられた。
 今後も当WGで実証されたインターネット技術は実習を伴う形式の講習会を通して実体を伴った形で各社へ還元していく予定である。

(2) 今後のネットワーク形態についての検討
 情報技術、とりわけネットワークの急速な進展とCALS/ECの進展に伴い変化する社内ネットワークの実態を把握するために「ネットワーク実態調査」を実施し、今後あるべきネットワークの姿を検討した。
ネットワーク形態として、基幹業務の取り込みを考えた場合、従来のホスト、クライアント・サーバー(C/S)の二階層から、データベース(DB)、アプリケーションサーバー(AP)、クライアントからなる三階層ネットワークへの移行による既存DBの統合が考えられる。図5-1 参照。


図5-1 三階層ネットワーク構成


 さらに通知・承認レベルの情報系から基幹系に匹敵するデータベースアクセスの規模へ応用するには、クライアント(端末)とサーバーの同期連携を前提とした分散オブジェクト・システムの形態が進展する可能性が高い。分散オブジェクトとはデータ、アプリケーション、プロセスなどを部品化したもので、これらのオブジェクトは場所に関係なく、ネットワークのどこからでもアクセスでき、業務に使用できる。

 その特徴として、以下の3点の利点が挙げられる。

@ 既存システムをオブジェクトとして扱うことで捨てずに活用し、安く、速く、確実に構築できること
A 個々のオブジェクトを一度作成しておけば、構築後の変更、拡張が可能であること

 つまり、ネットワークにオブジェクトを分散して、効率よくシステムを運用できるシステム環境が構築できる。 分散オブジェクトのアーキテクチャはオブジェクト指向の技術が分散マルチサーバ・マルチプラットフォームシステムに発展してきている。
 また、安全(セキュア)で安価なイントラネット/インターネットを構築するためには、閉じた専用回線を設置するか、専用回線のように使用できるVPN(Virtual Private Network)という仮想的な専用線を設置し、上記の不正アクセスを無くす方法がある。VPNは、ファイアーウォール、暗号技術の二つの機能から構成され、かつての専用線のように組織間の情報を安全にやりとりできる仕組みを提供するもので、専用線の使用よりも、安価で柔軟性のある仕組みであり、極秘情報を扱わない場合は十分な仕組みと言える。


図5-2 VPNによるネットワーク


 現在の個人認証の手法として、ネットワークの入口でのクライアントからの画面入力によるパスワードが圧倒的に多い。別のセキュリティ方法としてワンタイムパスワード、ICカード、サイン、指紋確認などがある。操作も簡単に素早く確認ができる商品が次々と出てきている。
 暗号化メールについても、一部のメールソフトにサービスとして組み込まれてはいるものの、メーカーやソフトベンダーにより種々の方法が提案されており、未だどの方式が望ましいか議論され確立していない。今後、どの方式を採用するかは、各種団体、発注者などの動向も視野に入れておくことが必要である。


図5-3 ユーザー認証方法


 データベースについても、既存データベースの統合による情報の効率化と今後のEDIを見据え、世界標準文書形式であるSGMLとインターネット上で使用され、世界標準であるHTMLのそれぞれ良い所(HTMLの流通性とSGMLの構造化言語)を継承したXML(Extensible Markup Language)が期待されている。
 このXMLにより、業界標準の文書型定義(DTD:Document Type Definition)を共通に設定し、XML変換することで既存の異なるデータベース間でデータ交換がおこなわれることが可能になる。これが進展すればデータがスムーズ(流通性、透過性)に交換され、調達等の業務が効率化し、建設業におけるEDIが実現されネットワークの最大効果が発現されることになる。


図5-4 建設業界におけるXMLによるEDI


 これまでのネットワークの適用例としてデジタル写真情報管理を考えてみたい。

 本来、現場において写真データの蓄積、共有によって期待するのは省力化よりも、付加価値化である。つまり、発注者に提出するだけのシステムでは、インセンティブに欠け、真に普及することは難しい。
 よってネットワーク、DB利用による流通性を高め、省力化・効率化はもとより、写真データのライフサイクルを検討し利用範囲を広げることで付加価値を高めることが必要である。

 例えば、社内情報として位置付けることで、施行段階での共有情報(施行検討、工法検討、工程検討、設計変更、遅延対策としての利用、専門部署からのアドバイスなど)として有効利用することが望ましい。
 また、管理、経営側との共通認識用(進捗状況、施行状況、作業環境の把握など)にも活用できるであろう。
 この概念が実現すれば、現場において写真を電子化する意味が明確になり、自らのためになるという動機づけ(インセンティブ)により、工事写真のデジタル化利用がいっそう促進され、現場におけるネットワーク利用の意義、存在価値が増大する。


図5-5 ネットワーク管理によるデジタル写真管理


 今後、移動性の高い現場においては、常時携帯、常時接続による携帯型端末の採用が望ましく、SOHO(Small Office、home Office)を飛び越し、SOMO(Small Office、Mobile Office)によるクライアントからなる基盤の展開が考えられる。

 以上のことを考慮し当WGでは、まず大多数を占める現場で利用できる「現場ネットワーク標準整備指針」を作成し、より快適なネットワーク環境を幅広く現場へ提示し、ネットワークの普及と現場適用への動機づけとしたい。

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